【コラム】副読本あれこれ




 

本展覧会の会場clasには、ジェンダーへの理解を深められるような副読本を用意している。大人用と子供用を2冊ずつ設置しているので、ぜひお手に取ってゆっくり読んでいただきたい。詳しくは現地で見てご体感いただくとして、実はこの副読本、ちょっと凝った作りになっていることにお気づきだろうか。


そう、この本は冊子体で印刷しており、二つに折ってホチキス止めする。すなわち中綴じ製本である。二つ折り、ホチキス止めは人の手で行われている。


ホチキス止め?どうやって?とお思いの向きもあろう。


実はこんな中綴じ用のホチキスがあり、大学生協で購入可能とのこと。


ホチキスのマガジン(針を入れるところ)は、このように360°回転できる(90°回れば十分な気もするが、童心に返ってクルクル回すのも楽しい)。

クリンチャー(針を受け止めてクルンと曲げるところ)は、マガジンがこのようにくるくる回るのに対応して、十字型になっている。


こうした中綴じ用ホチキス、筆者は寡聞にして知らなかったが、主にコミケなどで販売される同人誌の製本に用いられるという。

もちろん、市販の一般的なホチキスで止めるという方法もあるが、冊数が多くなると、中綴じ用ホチキスが一つあると便利だろう。ただし、中綴じホチキスにも注意点があって、一般的なホチキスに比べると大振りであるために、指をはめる窪みにまでそもそも指が届きにくいのである。よってきれいに綴じるには、両手の親指で強くホチキスを押す必要がある。折り目からズレてしまうと見栄えも悪くなるため、しっかり合わせた上でひと思いに綴じてしまうのが良い。何事も思い切りである。

確かに、ああいう小冊子はどうやってホチキス止めしてるんだろうという疑問は、昔からあった。おそらくお高い印刷機がバンバン針を打ち込んでサクサク二つ折りにしてくれるのだろうと思っていたが、それはどうも印刷会社に依頼すればのことらしい。本展覧会をはじめ、世の中の様々な場面は、中綴じホチキスに密かに支えられているのである。(N.M)

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