【作家解説】二村裕子


二村裕子(1943~)

略歴】
1943年 新潟県新津市に生まれる
1966年 多摩美術大学絵画科卒業
1971年 個展 シロタ画廊
1972年 第 6 回国際青年美術家展
1974年 第 7 回ジャパン・アート・フェスティバル
1977年 文化庁派遣芸術家在外研修員
1995年 世界の版画戦後 50 年展
1997年 個展 新津市美術館開館記念

【作家解説】
 二村裕子は日本の版画家で、1943年に新潟県新津市に生まれた。シルクスクリーンの作品が有名である。
 二村の作品のモチーフは人物や風景などではなく、幾何学図形と呼べるような、直線的で一見するとシンプルな構成になっている。しかし二村の作品の中で図形は複雑に配置される。そして画面全体に広がる「黒」が印象的で、二村の作風をシンプルであると表現することはあまり現実的ではないだろう。
 二村は自身の作家論の中で、作品に黒を用いる理由を尋ねられたときに、理由を曖昧に答えてしまうと語っている。二村自身にとって黒は、「ただ単に方法として選びとられ、意味に近づける方向で使われてきたものにとどまらないところがある」(注1)と語っている。二村の生まれ育った日宝町には、かつて石油産出地であった名残である「油池」と呼ばれる地があった。これは石油を精製した後の油粕を水田に掘った穴に捨てたことでできたものだった。二村も含め、気にとめる住民は誰もいなかったが、この油池は確かに漆黒の広がりとして存在し続けていた。二村は、自身の色彩選択感覚が、この油池の存在が刻み込んだ無意識に起因するものではないかと語る。
 実際、彼女が手がける作品は吸い込まれるような黒い空間が印象的なものが多い。今回展示されている《Zone’76 12 1》も例外ではない。

(注1)二村裕子「黒い広がりに現われた板きれ」『美術手帖1977年8月号』美術出版社1977年

【参考文献】
たにあらた「ユニット・接合子・平面性」『美術手帖1977年8月号』美術出版社1977年
二村裕子「黒い広がりに現われた板きれ」『美術手帖1977年8月号』美術出版社1977年
版画ネットhttps://www.hanganet.jp/hangaka/nimurayuko.html

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